福冨士は、お客さまがいつ帰ってきてもホッと休める民宿を目指しています。お客さまに対して、家族と接するように「おかえりなさい」という気持ちでいつもお迎えします。これは福島県出身のみっちゃんが福冨士に嫁いでからずっと変わらない思いです。
サンショウウオと、いろり料理と、みっちゃん。この3つの楽しいパターンで(笑)、1度泊まったら、きっとまた帰りたくなると思いますよ。
民宿福冨士やみっちゃんたちのことを簡単にご紹介します。
春にきてくれた方が、秋にまた泊まりにきてくれたり。20年前にきた方が、ふと急に思い出してきてくれたり。男性も女性も、若い人もベテランも関係なし。今まで幅広い年齢層のお客さまにご利用いただいています。
例えば、思い出すのは…
傷心旅行として1人で泊まった女子大生は、最初は元気がなくて心配しました。でも夕食時にどぶろくをいっぱい飲みながら他のお客さんと盛り上がり、翌朝は「またきます!」とすっかり元気になりました。
普段は忙しく働くサラリーマンも多いです。「仕事の悩みで頭がいっぱいになった」とか「急に仕事の休みがとれて、思いついたのがみっちゃんだった」。そんなふうに泊まりにきてくれます。
何十年ぶりかに電話をくれたお客さまが「みっちゃんわからないの?」「俺オレだよオレ!」なんて言うから、オレオレ詐欺と間違いそうになったこともありました(笑)。「顔を見れば思い出すよ」なんて言うから「だったら顔を見せにこなきゃダメだよ」って伝えました。
このような例はたくさんあります。町で住む方はストレスの解消が難しいのでしょうか?
仕事で疲れがたまったとき、「ホッと一息」つきたいとき、みっちゃんともう1度話したいと思ったとき。いつでも福冨士でお待ちしております。
夕食時、福冨士では1つのいろりに何組か同席してもらうことがあります。はじめはお互いに緊張もありますが、みっちゃんが冗談をまじえて話しかけているうちに心がほぐれるのか、お客さまどうしが仲良くなることも多いです。
若いカップルと年配のご夫婦という、別のグループどうしが仲良くなり、その後も一緒に泊りにきてくれるようになった方もいます。驚いたのが、福冨士での出逢いがきっかけで結婚したカップルまでいます。「みっちゃんがキューピットだよ」なんて言われちゃいました。
みっちゃんが食事中のお客さまとよく話をするのは、せっかくこんな山奥まできてくれたのだから、楽しい思い出を作ってほしいという思いがあるからです。
台所で食事を作りながら宴会場のお客さまとお話するので、じゃがいもを煮つめたり、天ぷらを揚げているとたまにひやひやするのですが、それでもお客さんが美味しいって喜んでくれる顔を見るのが好きです。
最近は近所づきあいも少なくなり、人と人のつながりが薄れがちです。でも本当は、誰かと話したり交流したいと心の底では思っているかもしれませんね。息子からは「おかんがいなくなったら、この民宿はおわりだよ」って言われました(笑)。
ありがたいことに選ばれました。農山漁村で民宿をやり地域活性化に貢献している女性を選ぶ「農林漁家民宿おかあさん100選」です。栃木県内でははじめてだそうです。となりの民宿大野屋の「さっちゃん(大類祥子さん)」も一緒に選ばれました。民宿がいくつあるかわからないけれど、とても光栄なことです。選ばれたときは新聞社やラジオの取材依頼がものすごかったです(笑)
この仕事はいろいろな方とお話ができて楽しいです。そしていろいろなヒントをくれます。クレームではなく、福冨士をもっとよくしたいという愛情があって、アドバイスしてくれます。
例えば、昔は民宿の2階に住んでいたのですが、あるお客さまから「そこは客用の部屋にしたほうがいい」というご提案を受けました。そこで、みっちゃんがいつも寝ていた部屋を移動することになり、その引越まで手伝ってもらったこともありました(笑)
完璧な仕事なんてできないし、おっちょこちょいだからよく失敗もします。でも予約サイトなどの口コミであまり悪いことが書かれていないのは、みっちゃんがウインクでごまかしているからかな(笑)
みっちゃんも人間だからつらいこともあります。体調をくずしたときはつらいし、ときには悲しいときもあるけれど、それは福冨士にきてくれるお客さまにとっては関係ないこと。プロ意識をもって仕事をしています。
今、家康の里の民宿は全部で3軒です。昔はもっと多かったのですが、過疎化などの影響で少なくなってしまいました。
昔の活気づいていた時代を知っているお客さまは、みっちゃんに電話してたまたまつながらないと「みっちゃんの民宿もいよいよやめちゃったのかと思った。やめないでね!」って心配してくれました。
以前宿泊されたある外国人の方は、東日本大震災のあとにアメリカから電話をくれました。英語でほとんど意味がわからなかったけれど、「ツナミ」「フクフジ」「ミッチャン」といった単語は聞き取れ、なんとなくですが、福冨士とみっちゃんのことを心配してくれているのがわかりました。だから「エニシングオーケー!サンキュー!」とお礼をしました(笑)。
こんな風に、多くのお客さまに応援されているから、今日も元気にがんばれます。